ジブリアニメ「耳をすませば」の中でも重要な舞台の1つとして挙げられる「図書館」ですが、この図書館に出てくる、本の貸出情報が書かれている図書カードについて、過去に問題になったことがあり、抗議もあったようです。
耳をすませばの図書館の件で抗議?
いやジブリアニメに抗議とかそんな野暮なことするフツー?
と思ってしまうんですが、まあインターネットの黎明期からの成長期にかけて「個人情報」に対する意識はどんどん強くなって現在に至ってるわけなので・・・
「個人情報の侵害」と少しでも認識したらとにかく騒ぎになる・・・そんな時期があったんだと思います。それにたまたまある年の、地上波で放送された「耳をすませば」に出てくる図書カードが引っ掛かったんじゃないかな、と勝手に想像します。
「耳をすませば」に出てくる図書カードは、主人公の雫と天沢聖司が出会うためのストーリーの展開上、必要不可欠の要素として描かれていました。
そこに図書館業界が引っ掛かって大きな問題と受け止め、これをきっかけに全国的に図書カードの廃止が進んだという経緯もあり、今ではほとんどの図書館で図書カードは廃止されて貸出情報はデータベース化されています。
「耳をすませば」の作品の中は1997年でしたが、冒頭で父親が雫に「貸出情報のバーコード化」の話をしていましたね。
いやもう素敵なストーリーなんだからそんな野暮なこと言わないでほしいんですけどね!・・・・と言いたいところなんですが、よくよく考えたらまあ時と場合によってはトラブルの原因にもなりかねないんですよ。
図書カードの個人情報に問題あり?
実際に「耳をすませば」の天沢聖司は、主人公の雫の名前を貸出カードで知って、雫のことが気になり、雫よりも先に本人を特定することができてしまっています。
さらに、雫が借りる本の傾向を分析して、今度は雫よりも先に本を借りて自分の名前を貸出カードに書き込むことによって、雫に「天沢聖司」の名前を認識させて、自分のことを知ってもらって仲良くなる・・・という作戦を成功させています(⇒耳をすませばの原作とアニメとの違いは?結末や後日談のネタバレあり)。
これは同じ学校の中学生同士の話だからまだ良いですが、年が離れれば離れるほどそれだけ危険な話になってきますよね。悪用はいくらでもできます。
さらに図書館の貸出履歴は使いようによってはお金を生み出すことはできます。個人情報をデータベース化して細分化すればするほど、この場所にはどんな本をどれだけ置けば貸出されるのかがわかりますし、それぞれの地域の傾向を押さえられれば、効率よく本を販売することもできます。
ということはつまり、お金を払って貸出履歴のデータベースが欲しい、という業者はいくらでもいるということになるんですよね。
アニメの「耳をすませば」がリリースされたのは1995年です。当時のIT業界はまだWindows95がリリースされたばかりで、パソコンを持っている家庭はほとんど無く、企業もまだワープロをメインに使っていました。
実際に「耳をすませば」に出てくる雫の姉の汐(しほ)は大学生ですが、自宅ではワープロを使用していましたね。
そういう時代なら図書館で貸出カードを採用していてもそこまで問題にはならなかったんですが、1999年くらいから一気にパソコンが広まり、インターネットの世界もどんどん広まっていきました。
つまりアナログの個人情報のデータベース化がどんどん容易になっていったんですね。このころから「個人情報」という言葉が当たり前のように使われるようになりました。
さらに「耳をすませば」は毎年地上波で放映されるロングセラーの名作なので、時の経過、技術の進歩とともに作中に出てくる図書カードが個人情報の問題として認識されるようになったんでしょう。
今では日本図書館協会は「図書館の自由に関する宣言」の第三条一項で
読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない
と、規定しています。つまりこれは従来の貸出カードの廃止を意味しています。
2022年現在ではもう1周まわってというか、図書カードの件については過去の話となったので、「耳をすませば」を観て「個人情報ガー」と騒ぐ人もいないでしょう。こんな時代もあったんだな、これはこれで素敵だな、とノスタルジックに浸るのが良いと思いますね。
ちなみに、
作中で大学院生の母親は司書の父親と共同でデスクトップPCを使っていましたが。「耳をすませば」の作品の中は1997年なので、Windows95を使用していたんだとしたら、当時のCPUは良くてPentium2の256MHzとかでしょう。ネットをするならISDNなので、固定電話がかかってきたらネットが中断される時代ですね。たった2MBの動画をダウンロードするのに1時間以上かかっていた時代でもあります(笑)
アナログって素敵だよね
アナログってホントに良いんですよ。
修羅場を迎えた高校生が10円玉を握りしめて公衆電話の前でなんて話そうか考えているシーンとか・・・好きな異性と話したいから固定電話に電話したら、父親が出て学校名と名前を言って挨拶をしたら「今何時だと思ってるんだ!」と21時くらいに怒られて電話を切られた、とか。
今だとスマホとlineで一瞬で済むことが、アナログ時代はちょっとした冒険でした(笑)
待ち合わせが失敗したら詰みだったし。なんかあっても連絡できないから一体何時間待てばいいのかもわからなかった・・・。
ジブリのアニメはそういったことも含めて思い出させてくれるから素敵ですよね。もうスマホが無いと生きていけませんが。
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